日本が一つしかないという問題

先週はシンガポールに出張に行っていた。出張と言っても決まっているミーティングは一つで、あとはnnfを支援してくれている孫泰蔵さん(現在はシンガポール拠点)とnnfの事業について相談、またシンガポールのスタートアップ事情などを教えてもらう、といった漠然とした出張だった。

ここまで漠然とした目的で出張に行くことは初めてだったし、行った後で後悔しないような学びや成果を出せるか少し不安はあった。けど、結果的に言えば近年の出張の中で一番学びが多いと断言できる、手応えのある出張だった。

シンガポールに行って何より肌で感じることができたのは、「活気がある」そして「未来に対して希望がある」ということだった。この数年で何回かシンガポールに行っているけど、行く度に街が洗練されているように感じる。泰蔵さんは未来に対する期待そのものが景気だと言っていた。

泰蔵さんに連れて行ってもらったバーが異常に素敵だった

スタートアップのイベントがあるということでがブロック71という国営のインキュベーション施設にも行ったのだけど、このエリアには既に700社以上のスタートアップが集まっていて、更に拡大して1000社が集まっていく予定らしい。
フードコートなども充実していて非常に楽しそうだった。端的に言って日本にそんなところはないし、仮にあってもスタートアップが集まらないと思う。人口500万人、23区とほぼ同じ大きさの国に、質以前に量で負けている。

フードコートの様子
フードコートの様子

スタートアップのエコシステムをつくる上で、実は質は大した問題じゃないと思った。質が悪い会社は潰れる、それだけだからだ。そもそもスタートアップはリスクが高いことを前提に投資という仕組みが成り立っているのだから、1社が潰れることはある意味失敗ではない。そして量は結構なものを解決する。まずスタートアップ同士の情報交換によってやり方が洗練される、投資家も多くの選択肢のなかで一番良いものを選べば良いので成功率は徐々に上がる、仮にある会社が潰れても似たエリアの企業が成長していれば従業員の仕事は見つかり、コミュニティ内のノウハウは消滅せずに蓄積されていく。
だからとにかくチャレンジをする人は多いほどいいのだけど、これを支える根本が「活気があって」「未来への期待が高い」ということだと思う。

3日位のことなのでシンガポールについて沢山理解したということでもないのだけども。ただ肌感として、日本の一箇所に留まっていては世界の流れに取り残されることはよくわかった。

泰蔵さんは驚くほど日本という国をどうやって活性化するか、日本の中でどうやってスタートアップのエコシステムを発達させるかを深く考えてきた人なので、滞在中何度もそういう話をした。ただ、シンガポールという若い国で成立していることを日本という歴史的にも人口比率的にも高齢化した国で成り立たせるというのは非常に非常に難しいという話に辿り着く。難しいというか単純に、努力して成長するよりも努力せずにこのまま死にたい人の方が多い、ということなのかもしれない。悲しいけど。

出張を経ていろんな考え方をもらって、帰国してからもしばらく考えているのだけど、日本については「日本語で生活できて日本文化が根付いている地域」が日本にしかないことが最大の問題なのではないかと思うようになった。
日本食はうまいとか、治安がいいとか、たしかに日本には良いところがある。だからといって政治や経済の問題を「それでも日本は良い国だから受け入れるしかない」と簡単に諦めてしまっていいのだろうか。自分の手の届く範囲に日本語で生活できて、日本の文化の良さがあって、国としてのシステムも老朽化していない国、地域があれば、僕達の思考は随分変わってくるのではないか?少なくとも、比較対象が必要な気がする。こっちの国では税金はこうだけど日本はこうだとか、あっちの国ではこういう法律作ったけどこっちはどうするみたいな、いつでも移住が考えられる第二の土地を持つことで、自分のいる場所をより客観的に見られるようになるのではないか。

今はただの思いつきなのでどうやったらそれが出来るかわからない。ただシンガポールが約50年で偉大な国に発展したことを思えば、不可能とは思わない。いずれにしろ、何も望まないよりは、自分が未来に期待を持てるかたちを各々探したほうが良い。

 

 

 

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